憎むなよ怒りは壊す千劫の 修行も徳もまたたきの間に(菩提行経6_1)
滴塵036
本文
憎むなよ怒りは壊す千劫の 修行も徳もまたたきの間に(菩提行経6_1)
形式 #短歌
カテゴリ #8.比喩・諷刺・諧謔・引用
ラベル #喜怒哀楽 #修行 #無常 #仏 #引用
キーワード #怒り #憎しみ #修行 #徳 #菩提行経
要点
怒りは全てを壊す力があり、長年の修行や徳も一瞬で失われることを警告。
現代語訳
憎しみを抱くな。怒りは千年の修行や積んだ徳を、一瞬で壊してしまう。
注釈
千劫:仏教でいう非常に長い時間、無限に近い期間の意。
修行も徳も:長い時間をかけて積み重ねた善行や功徳。
またたきの間:一瞬、瞬きのような短さを示す。
菩提行経:菩薩行経とも。寂天(シャーンティデーヴァ)の作。
解説
怒りや憎しみの危険性を比喩的に強調。長い修行や徳も、心の乱れ一つで無に帰すことを示し、心の安定と慈悲の重要性を伝える。短歌で示される瞬間性が、怒りの破壊力を際立たせる表現。
深掘り_嵯峨
この歌は、仏教の根本的な戒めの一つ、「怒り(瞋恚、しんに)の恐ろしさ」を、引用を用いて強く戒めています。
怒りという一瞬の感情が、千劫という途方もない時間をかけて積んだ全ての功徳を一瞬で破壊してしまうという、煩悩の破壊力を強調しています。
これは、菩薩(悟りを目指す者)が持つべき忍耐(忍辱波羅蜜)の重要性を説き、心の平穏を保つことこそが真の修行であるという、求道者への厳格なメッセージが込められた一首です。